ボツ BEFORE “FASTEST DELIVERY”

 

 実は冒頭はこんな感じでした…。ボツ稿ですが、ナナちゃんが初登場です。

-------------------------------

「ああ、ランカちゃん――ごめん、アルトじゃなくて」
 言うと、光に満ちた表情が一転した。
 ああいう顔を前にも見たことがある。
 いつどこで、だったのか?
 その答えがどうでも、眺めて気持ちの良くなる表情ではなかったのは確かだ。
 ガリア4へ慰問に向かうシェリルの護衛が、何故か政府から秘匿事項に指定されたため、アルトは事前にランカへ連絡することが不可能となった。そのため、彼が旅立ってから「アルトはここに来ない」と告げる悲惨な役目をミシェルが負うことになったのだった。
 ランカのしょんぼり具合に、それを依頼してきたアルトを多少恨みそうにもなったが、今ミシェルの目の前にいる彼女は、もう、その再底辺のテンションから見事に立ち直っていた。
 願いが叶うからか?
 彼女はこれから、アルトがいるガリア4へ向かう。連れて行くのは自分だ。
 いや。
 ミシェルとしては、フォールドの問題がLAIの技術で解決できるとわかっても、ランカを連れて行く気はなかった。
「えーと、それじゃあ、ほら、ランカちゃんの事務所の先輩の徳川喜一郎さんとか」
と、へらっと笑って言ってみたのだ。途端に陽光降り注いでいたはずの昼食タイムにブリザードが吹きすさんだ。
「ミシェルくんひどいです。ランカさんの気持ちを知っていて、そんなこと言うなんて!」
「そうですよ先輩。もう少し空気読めって、いつもアルト先輩に言ってるくせに!」
空気を読んでいなかった訳ではない。確かに気持ちは無視したが。
 二人の援護に勇気づけられたか(正しくは、ルカはランカの後押しはしていない)
「お願いミシェルくん。もし私で役に立つなら――歌が必要なら、私を連れて行って」

-------------------------------

 以上、お目汚しでございました…。

 

home index